下北半島ライド

下北半島。
ただでさえ北端にある青森の、一番端っこ。

大湊、恐山、大間崎。
青森のイメージを形作っている
象徴的な土地なんじゃないでしょうか。

「むつより北って走ってないな」


走ってきました。





今回はバイクパッキング仕様。

GIANTのバッグは普段のツーリングだと持て余し気味だったのですが
帰省もあったのでフル積載。いらないモノ、いっぱい入ってます。

バッグが邪魔で取り出せなくなったボトルケージはアダプターで5cm下げて
ダウンチューブに使っているものと同じタイプのケージを使用。
なんとか手の届く範囲でうまく取りつけられました。


いつもの弘前駅。

むつまでは以前自走したので今回は輪行です。




あれ…次第に雲行きが…

最低限の雨具しか持ってないんだけどどうしよう。。



んー……?



おやおや…!?


9時に下北駅到着、輪行解除!

どうやら北上するうちに雨雲から逃れたようです。
弘前駅から3時間、本州最北の駅からスタート。


半島時計周りコース、大間のフェリー乗り場まで120km。

17時に着けば良いので、タイムリミットは7時間くらい。
アップダウンはあるけど、トラブルでもない限り余裕で到着できる計算。



ファミマってスーパーもやってたんですね。Tカード使えそう。

大湊駅まで輪行せず下北駅で降りたのは、むつ市の町もちょっと走りたかったから。
古くは北前船の風待港として栄え、その後も複雑な歴史を辿っている土地なんだそうですが…

おっ?民家の隙間から何か……



船だー!!!!


大湊といえば軍港でしたね。

かつて大湊警備府があったここには現在、海上自衛隊大湊基地が。
左からすずなみ・まきなみ・ゆうだち・せとぎり。
詳しくないんであとから調べました。


約5000トンの塊が動くんだから、船はホントヤバイ。
基地自体は町のはずれで人通りもまばらな中、周辺では制服を着た人をよく見かけました。



市街地を抜けたら陸奥湾沿いをひたすら西へ。
なんか疲れないなと思ってメーターを見ると……あれ?時速40km出てる?



余裕あるしさっきの場所で 写真撮ろう!と思って引き返そうとすると……



凄 ま じ い 東 風



なんせこの先、脇野沢まではアップダウンもなく西一直線なんで。
全力で恩恵に預かりましたよ。ハッキリ言って快調すぎる!



けさ輪行で通ってきたあたり。あのへんも大体むつ。

ぶっちゃけ下北半島の半分くらいはむつ市。佐渡島とほとんど同じ面積です。


なんかさっきから民家の軒先に提灯がぶら下がってる。
お盆だし、夏の催しがあるんですかね。




やってるやってる!!
首だけの獅子舞を持った大人が子どもにカジカジ。子どもギャン泣き。

脇野沢まで30kmくらい続く提灯と、ときどき出店や行列があって視覚的に楽しい。
お盆にあえて知らない土地を訪ねるのも面白いですね。


あっという間に下北半島の西の端、脇野沢フェリー乗り場。

これに乗ると対岸・津軽半島側の蟹田にいけますが
今日乗るフェリーはここから75km先の大間-函館。まだ先は長い。


追い風のおかげで時速35km前後は軽くキープしていたものの
調子に乗って写真を撮りまくっていたので脇野沢に着いたのは正午。

この先は寄り道に時間を食うけど差し引き4時間で走れば全然間に合う。多分。


半島の先端で90度カーブ!進路を北へ。
追い風おわって登り区間って言っても、ここまで海沿いの道全然平坦だったし!余裕でしょ!


海沿…い……



うみ…海とは…?????


「標高が…欲しいか…(累積1000m山岳)」

「欲しくない、いらない」

坂もなんですがこの区間、とにかくアカウシアブが多い。
大型のアブで、スズメバチに似た羽音を立てながら高速飛行する厄介な虫。

時速10km前後まで落ちると彼らが周囲を旋回し始めます。そう、複数出現するんです。
痛いのはいやだ、痛いのはいやだ。12%超えの坂も無理矢理ペダルを回す。
僕は彼らを峠の鬼コーチと名付けています。


10km進むのに1時間のつらい区間を抜けると、ようやく今日のお目当てにたどり着きました。

仏ヶ浦。

下北の西岸はグリーンタフ(緑色凝灰岩)が分布しており
侵食で削られた景勝地は天然記念物として指定されている。

…という話だけは知っていたので、
今日はそこを訪れるために距離とアップダウンがハードな西周りルートを選んだのです。

超楽しみ。



下の写真は「仏ヶ浦駐車場」の看板を目にして安堵した僕が
駐車場を抜けて初めて目にした光景です。




仏ヶ「浦」とは……?


GARMINの高度計でうすうす分かってた。海面まではあと120m。
スカウターの故障じゃなければ、そこに海があるはずがない。

ヒルクライムが終わったと思ったら登山。
ぜーんぜん下調べしなかったので、これはちょっと予想外でした。
だって調べすぎると、楽しみがなくなるじゃないですか。

仏ヶ浦駐車場って言うから、片道数分で行けると思うじゃん!
余裕で15分いく。これはプチ登山だ。

ここで時間の貯金は使い果たすことに。


でも写真は撮っちゃう。

旅行客の年齢層は割と高めで、どう考えても運動するつもりじゃなかった人もチラホラ。
皆さん斜面のハードさは予想外だったようで、僕もそのトラップにまんまとかかった一人。


SPDシューズで120mの崖を下って


やっと視界が開けた!!!!


何か船着き場がある!!

ちっちゃい子やおじいちゃんおばあちゃんがめっっちゃ平然と訪れとる。
どうやらここから離れた北と南の港からそれぞれ遊覧船が出ているようで
登山したくない人は普通に町から船で来れるみたい。

僕も次は遊覧船で来ます。


人と比較すると一目瞭然、ひとつひとつの岩の縮尺がおかしい。
こんな岩に囲まれるので、カメラを振り回していると首が痛くなります。

これ絶対マグリット。



足元はずっとこんな感じ。スポンジみたいな見た目して普通に岩。
ロード用のシューズだと全然歩けないですねこれは。

そういえば今回はたまたま干潮の時間帯に到着することができました。
歩ける場所が普段より広かったみたい。



奥の岩、天辺に祠みたいなものが…?
あんな絶壁にどうやって……


岩かよ!!!!!!


これとかどう見ても人の足型なんだけど…
侵食だけでこれだけ自由な形になるもんなんですね、これは来てみないと分からない。


特徴のある岩には名前がついてるそうです。
一番巨大で特徴的なのが「蓬来山」という垂直に刻まれた剣山のような岩。

予備知識があったらあったで楽しめそうな場所ですね。
でもパンフレットのアドバイスなしで、目についた岩を色んな角度で眺めてみる。
歩けそうな道を見つけて歩く。これも超楽しい。


大きな岩の壁面を登って振り返ると、さっきいた場所の全容が見て取れる。
仏ヶ浦(仏宇陀)というのは、昔の人がここの奇勝を前に浄土をイメージしてついた地名。



背には蓬来山。

ここから先は行けないこともなさそうだけど、今の足回りではちょっと厳しい。
落ちそうな場所はどう見ても水深があるし、今回は見送ることにしよう。
別に時間切れとかではなく!!



このへんとか、滑らなければ向こう側に行けそう。

たっぷり1時間近く滞在して大間へ。
駐車場まで二度目の登山をしたせいで、足は全然休まってない。


「残りが40kmで…いま15時だから…
 平均時速20kmでいけばフェリーに乗れる!!
 まだ登るけど!下りもあるから!!いける!!!!」

平常心を失った状態のヒルクライムは危険なのでやめましょう。

ここから先は一心不乱にペダルを漕いだので写真なんか撮ってるヒマはありませんでした。


ウソです。結構撮っちゃった。


なんとか17時にターミナルに駆け込んで無事乗船。
途中で空きボトルを捨てる余裕もなかったけど、何とかなるもんです。


完全勝利の味。

ここから先は函館に着いて、なんやかんやあって千歳から羽田に飛行機輪行で都内へ戻りました。
あんまり自走しなかったけど、なんやかんやの部分や輪行ネタでまた書けたら書いてみます。


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