「旅用ズームレンズ」を機材更新した話 / HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 WR

初めて一眼レフを持ったのは高校生の頃。
実のところ当時はそんなに写真へのこだわりが無くて、記録を残すために始めた意味合いが強かった。
何を撮ったか分かればいい!という感覚だったから、機材への拘りも言わずもがな。。
加えて最初買ったレンズが何かと都合が良くて手放せずにいたのだけど、とうとう新しくしましたというお話。


カメラメーカーといえばCanonとNikonの二大巨塔、最近はミラーレスの台頭で人気のSONY。

そしてOLYMPUSやFUJIFILM、Panasonic、PENTAXで撮ってる方もちょくちょく見かけます。
フジとパナ以外は一定期間触ったことがあるといえばあるんですが、このブログでは趣味用に長く使ってるペンタ機で撮った写真が主。あとiPhone。

正直言うなら、明確な目的がないならこのメーカーじゃなきゃ駄目!というのはそんなにはないと思う派です。

でもロードバイクと違って「価格が一緒なら性能もほぼ横並び」なんてこともなく、しかも自転車ほど規格も統一されていないのでホイール&コンポ載せ替えでレース機材並みのポテンシャル!という訳にもいかないのがカメラ製品。なので、大手製品を買うのが間違いないのではとも思ったり。

元から使っているからという愛着がいまのカメラを選んでいる理由の大半だったり。


初一眼レフのPENTAXエントリー機「K200D」は暗い所が苦手!スポーツ撮影が苦手!と決して万能なカメラではなかったけれど「撮り手の意図を反映して撮りたいものにフォーカスする」一眼レフたらしめる性能は持っていたし、キットレンズの代わりに取り付けた高倍率ズームレンズは扱いやすかった。

今使ってるK-5IIにないメリットとして、乾電池式だから2週間の自転車キャンプツーリングなんかもきっちり仕事をこなしてくれた個人的MVP。


このとき同時に購入したのがタムロンのAF18-200 F3.5-6.3 XR DiII LD Aspherical [IF] MACRO
(レンズの名前は呪文みたいでまどろっこしいのでモデル名の「A14」とする)

つまるところ「便利ズーム」と呼ばれる製品。作品作りとして写真を撮るなら、あんまり選ばれない選択肢。
当時は同価格帯の単焦点レンズを選ぶメリットはよく分かっていなかったし、実際この18-200mmという画角をカバーする高倍率ズームは後にのめり込む自転車旅と「めちゃくちゃ相性が良かった」と思ってる。

キャリアを使っていた頃はカメラバッグを直接荷台に括り付けてました。これが意外と使いやすかった。

ブログを始めたのはここ最近の話だけど、現在でも自転車旅でメインに使用していて、記事に使う一眼レフ撮影の写真のうち7割ぐらいはこのレンズ。
もう壊れるまで買い換えなくていいかな!とさえ思っていた。

自転車旅に使って良かったと感じている点は以下の通り。

  • これ一本で風景〜飛行機まで大体撮れる!
  • レンズを替えなくて済む=撮影時間を短縮して枚数と走行距離を稼げる!
  • 価格が安い=アウトドア使用で濡れたり壊れたりしてもあまり悲しくならない!

自転車旅で写真撮影をする最大のメリットは「徒歩より遠くへ行って、車より気軽に停まれる」という点。
予め決まった目的地へ車で赴いてどっしり腰を据えて撮影するなら単焦点や標準、望遠と役割分けをしたレンズ構成で試行錯誤する時間がある。

でも自転車旅ではふとした休憩中、補給食を食べている合間、コーナーを抜けた先のちょっとした景色、それを見て数秒でさっと撮影に入れるのが強み。


それと引き換えになるのは積載量だったり、目的地が遠いときは時間の無さだったり。
旅行用とも言われるジャンルのこの手のレンズはそういった点を踏まえるとうってつけ。

そして最近は、これとは別に以下のようなレンズもツーリングに持ち出していた。

  • SIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC
  • SMC-M 50mm F1.7 

前者はいわゆる超広角、人間の視覚を超える範囲を画面に収めて広大な景色を残してくれた。

河津ループ橋。地面を低くすることは出来ないので、下から収めるには焦点距離10mmの画角が必要だった。

こっちもシグマ超広角。極端な画角はなんとなく非日常っぽくなる。

後者はオールド単焦点。
PENTAXのカメラはNikonと同様にフィルム時代のレンズとマウント規格が共通しているので「単焦点使う機会はあまりないけど、オールドなら安いし試してみよう」とキタムラで買ってみたもの。
ほとんど景色しか撮らないからMFでもこれが案外いけてしまう。

SMC-M 50mm F1.7 シンプルな道具っていい。

最近は、最初に挙げたタムロンA14と合わせて多いときには3本体制でツーリングをしていた。
レンズはサドルバッグに入れてしまうと交換がものすごく不便だったし振動もあまり与えたくないので、こじんまりとしたウエストポーチをレンズケースにするスタイル。
さて、ちょいちょいレンズを追加してみて感じたことが2つあった。

「A14の画質、そろそろ物足りないかもしれない……!
「やっぱレンズ交換するの、結構しんどくない……????」

気に入ってる写真。でもこういう細かいタッチの景色は滲みやすいし左上の明るい部分で「流れ」が顕著。

少なくとも私が好むスタイルでは、レンズを2本持ち歩くことさえデメリットはあると感じた。

荷物が増えると出発時の忘れ物が増えるし、雨が降ったとき全部は防水バッグに仕舞えないこともある。
この辺はトレードオフなので、身軽さを優先するか撮影を優先するかというだけの問題。
(そもそも今どきiPhoneでも写真は十分残せるのに敢えて一眼レフを持ち出して、荷物が重いとのたまうのも贅沢な話ではある)

  

ここまでの画角をカバーして現在中古品ならなんと1万円未満のA14(旧型は手ぶれ補正ないけど、ペンタはボディ内補正)。コスパの塊。

A14の18-200mmという焦点距離はフルサイズ換算で27-300mm相当、あらゆるシチュエーションに対応してくれる。
しかしズーム範囲が広いということは、あんまり使わない焦点距離もあるということ。
よくよくライブラリを見返してみると一番よく使っているのは広角端18mmから90mm前後で、7〜8割の写真はこの画角に収まっていた。

テレ端はそれなりに使ってるけど、むしろ広角がもっと欲しい場面が多かった。

ズームレンズは一般に倍率が高いほど画質が落ちてしまう。
スマホのズーム撮影で引き伸ばすよりずっと綺麗だけど、シャープさの面では物足りなさを感じつつあった。

そして折角これだけ伸びるレンズだけど、焦点距離の約半分を2割程度しか活かしていないことに気がついた。
「つまり、もうちょっと焦点距離を犠牲にしても撮影にほとんど支障ないんでは!」
もうちょっと早く気づいても、良かったんですけどね。

用途と予算を鑑みて、候補に挙がったのが以下の3本。

  • HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 WR
  • smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR
  • SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM

同じズームレンズでも周辺部までA14より綺麗な18-135mm。評判は分かれるけど嵩張らないし1本あると良さそう。

18-135mmはコンパクトさとカバー範囲、さらに防滴(WR)も備えているのが魅力。
仲間のものを借りてみたことがあって、ボケ味は綺麗だし旅レンズに適している一本。
ただ小口径高倍率となると犠牲にしている部分もあるのか、画質の面で現在のA14から買い換えるほど明らかなメリットはないように思った。

望遠より広角をよく使うのを考えると16-85mm or 17-70mmが選択肢に残る。

ペンタックスの比較的広い焦点距離のカバー範囲をとるかシグマの明るさをとるかというところで、最終的に残ったのはペンタックスの16-85mmだった。


あれこれ悩みつつ旅用レンズを選定するのも楽しい作業でした。
機材更新の話、おわり!

以下は検証模様と作例です。


上:16-85mm(1/80秒 F10 ISO100)
下:18-200mm(1/80秒 F10 ISO100)








短い期間ですっかり気に入りました。しばらくお供に連れて参ります。



(2021.8.10追記)

2020年の元旦にポケットから落っことしてAF故障。

小型ズームと同じ感覚で扱うとこんなことになります。
リコーイメージングへ2回修理に出してモーター交換やら組み直しやらして貰ったんですが、どうも光軸がズレてしまうようでした。

未修理時。一番分かりやすい条件で撮るとこうなる。皆さんも機械は落とさぬように。
ちなみにレンズを落とすのは人生2度目でした。

2回目組み直して貰ってからは順光なら強い反射光とか入らない限りパッと見悪くない写りにはなったけど、ギラギラした水面や光がこぼれ落ちる葉っぱの描写とかはやはりむーんとなる感じ。精密機器なんでこれは仕方ないです。

2回目の修理から返ってきた16-85mm(左)と比較用の18-135mm(右)
ソフトフィルターのようなボケが目立ちますが、解像力も本来のカリッとした印象までは戻らず。

同じく修理後の16-85mm(左)と18-135mm(右)で中央を等倍表示したもの。
左の方がモンヤリしてるのが分かります。むーん。

てなわけで早速2本目を購入しました( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

なんで故障話をわざわざ追記したかというと、2度修理した上で諦めず再購入するぐらいには気に入ったということです。今度は3年事故保証もつけたので全損したら3本目入手もワンチャンあります(ない)。

事故レンズを完璧に直す、たったひとつの冴えたやりかた


ちなみに2本目を購入するまでに他のレンズも色々買い足して使ってみてたんですが、その中に上記の旅用レンズ候補だった18-135mmもありました。

自分の結論として小型の「DA18-135mm」は身軽なミニマム一眼スタイル or 他のレンズと合わせて運用したいとき向け、一回り大きい「HD DA16-85mm」はレンズ交換前提ではなく、単体で1本満足な使い方がやはり自転車旅にいいなぁといった感じです。もちろん積載上等な気分のときはこの限りではないですが、他の手持ちレンズが18-135mmと似通ったサイズ感なので交換時にパッキングが乱れなくて楽なんですよね。

16-85mmは広く写せるのは当然として周辺部の収差もよく抑えられていて、構図の自由度だったり拡大したときの粗のなさだったりが○です。



改めて16-85mmと18-135mmの中央部(左上・右上)と周辺部(左下・右下)比較。
中央部は16-85mmの抜けがちょっといい感じで四隅なんかはもっと分かりやすい。

でもまぁ普段等倍で人に見せたりとかしないし、取り回しは18-135mmのほうが良い。


レンズの設計についての知識は全くないのですが、同じF値でも7.5倍ズームに対して5.3倍ズームという控えめな倍率、10mm大きい前玉、HDコーティングなどが解像力として現れている感じなんでしょうかね。

AFは18-135mmの方が早いという話も聞きますが、個人的に明確な差は感じられず。
16-85mmが早いといったこともなく、そしてMFの操作感もほぼ一緒。
フィルター買う場合72mm径の16-85mmはちょっとだけ高くつきますね。いずれスターレンズとの共用とかも考えていくと、77mm径のフィルター買ってステップアップリング噛ませるのが良さそう。

あとは望遠・広角どっちが欲しいか次第で、18-135mmもコストパフォーマンス・身軽さ込みでばっちり役割を果たしてくれて文句なしだと思います。




おわりー。




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