環島Part.0 2019台湾一周の旅

2019年某日、夜中に自転車仲間とLINEをしていたら台湾一周することになっていた。ウソだろ。
そんなノリと勢いで台湾へと飛んできた去年の出来事をシリーズ形式約10本で纏める予定です。
今回はまずプロローグ、準備編から。



今回の旅は、よく一緒にツーリングしているノブさんが
「PBP*でいずれ海外遠征したいしちょっと台湾行ってこようかな」
と言っていたので、5分後に「それワイも行きます」と返したのが始まりです。
*PBP…フランスのパリ-ブレスト-パリ約1200kmを走破する長距離ブルベ。私は出ない。

プロローグおわり!

-環島ライド目次-

Part.0 準備編(本記事)
Part.1 台北到着
Part.2 台北 - 新竹  ←ここまで更新中!
Part.3 新竹 - 台中
Part.4 台中 - 嘉義
Part.5 嘉義 - ???
Part.6 ??? - 台東
Part.7 台東 - 瑞穂
Part.8 瑞穂 - 羅東
Part.9 羅東 - 九份
Part.10 九份 - 台北
Part.11 帰国

台湾一周(環島)


日本人の海外旅行先として人気の根強いお隣の台湾。

唯一と言っていい日本語が通じる(こともある)外国。
筆者の過去の海外旅行経験はフランス行きのツアーのみ、ほぼ海外旅行初心者です。
まして自転車旅行となるとトラブルがつきもの。

実際行ってみて、初の海外遠征ライドに選んで良かったなぁと思う点など以下の通り。

○大都市、工業地帯、熱帯、山と森、幹線道路沿いだけでも景色が豊富
○ 夜に子どもが遊ぶ姿を見かけるくらい治安がいい
○ 幹線の道路事情は日本より基本良い(右側通行はすぐ慣れました)
○ 日本と違って水道水は飲めないけど、自転車ツーリスト向けの補給所が多い
○ 宿代が安い!食事つきで大体ネカフェかカプセルホテル感覚
たまに野犬に追われる

日本人的に馴染みのある風景も多いのですが、おかげで長期の日程でも違和感なく過ごせる。
台湾、すごくいいところでした。

日本の河川敷サイクリングロードと違い一般道込みの環島1號線。「ここさえ外れなければ自転車で一周できる道」という意味合いが近い。

何より自転車乗りにとっては、GIANTをはじめ世界一の自転車生産国というイメージが大きいです。
現地でもGIANT製の自転車は多く見かけたので、馴染みの深さが見て取れました。
もちろん産業だけではなく2008年公開の映画をきっかけに全国一周が流行したこともあり、一周のための総延長968kmの自転車道「環島1號線」が出来たという背景があります。

原付が日本で言うママチャリぐらい移動手段として根強く、広域で供用されている原付用レーンがそのまま自転車道を兼ねています。
このレーンをふさぐ路上駐車は全くない、と言っていいほどレアです。

日本の島で言えば九州本島ぐらいの広さを一周する道、この台湾一周の旅は環島ホァンダオと呼ばれています。
※筆者は中国語がからっきし、ごくシンプルな英語が使えるぐらいの語学力です。旅立つ前はまあいいかと思っていたのですが…
 簡単な地名の読みぐらい知っていたら現地の人と話せる幅が広がったなぁ〜と思ったので、覚えるのも兼ねてときどきルビを振ることにします

休日

これがないと始まらない……!何も……!!
決まった期間お休みにできる時ばかりとは限らないけど、今回は幸い押さえられました。
(【台湾一周の距離 ÷ 1日あたりの目標距離】日 + 移動日 + 予備日)

確保したのは13日間。なんとかなりました。

 6日     成田国際空港→台湾桃園空港
 7日〜15日 台湾一周
15日〜17日 予備日程
18日     台湾桃園空港→成田国際空港


パスポート

パスポート関係の手続きは早めに、とよく言うけれど本当それ。本当それ。
航空会社にもよりますが国際線だと「飛行機を予約する時点で」パスポート情報を求められます。
以前海外旅行をしたときはツアーだったのでよく分かってなかったところ。

期限切れのパスポートを更新するために以下の手続きと日数がかかりました。

①本籍地(青森)の役所に戸籍抄本を郵送申請

↓往復速達で3日間

②土曜に戸籍抄本到着 (土日は申請業務休み)

↓月曜まで待機2日間

③期限切れパスポート/戸籍抄本/本人確認書類を用意
 都内のパスポートセンターで書類を書いて申請

↓受け取り日まで6日間

④パスポートセンターで受け取り

と、本籍地が遠いのもあり11日ぐらいかかってようやくパスポートが手元に届きました。

出発日まで余裕があったからいいものの、とりたい飛行機は決まっているのに予約すら出来ない状況にうっかり陥ってました。

航空便

飛行機の便については、いくつか選択肢があって最初は頭を悩ませました。

首都圏からだとこんな感じ。
成田空港 or 羽田空港 → 台湾松山ソンシャン空港 or 台湾桃園タオユェン空港


1.羽田(HND)-松山(TSA)線は市街地直通のアクセス
2.郊外同士の成田(NRT)-桃園(TPE)線は格安航空会社の便が多い
※東京だと羽田発着でタイガーエアの便もありますが、丁度いい時間帯の便がありませんでした

筆者の居住地的に自走なら多摩川サイクリングロード直通で行ける羽田空港は魅力的なのですが、国際線の飛行機輪行では飛行機用輪行バッグ or 輪行箱は必須。
自宅から輪行ありきの移動になると、羽田に行こうと成田に行こうと乗り換えの手間に大差はない!
ということで、素直に安い後者(NRT-TPE)を選択しました。

いくつかある航空会社の中で評判のよかったタイガーエア。


飛行機輪行

飛行機輪行の手段にもいくつか選択肢があります。
それぞれ分かりやすいメリット・デメリットはこんな印象。

1.輪行バッグ

○ 比較的安価、空のバッグは背負って運ぶのも不可能ではない
✕ 衝撃は吸収しても圧力を防ぐ構造ではない(国内線向け)

2.ハードケース

○ 強固な防御力、ホイール収納スペースがあって信頼度が高い
✕ 価格が高く、所有するなら置き場も必要(遠征頻度の高い人向け)

3.輪行箱

○ 比較的安価、圧力への抵抗がそこそこあり不要になったら処分も楽
✕ ハードケースに比べると強度がピンキリ、使い回しにはやや不向き

国内線だと通常の輪行袋1枚でも割と大丈夫なんですが、国際線は全く事情が違います。
今回、筆者は 3 の市販の輪行箱にしました。なんせ滅多に使わないので。
OS-500はレンタルという手段もあるので既製品で最も安く抑えられるのは 1 ですが、貨物室で荷物の下敷きにならないとも限らないので(どれぐらい荷物が親切に扱われるかについては空港職員の余力と優しさ次第)(基本的にぶん投げられると思った方が吉)輪行バッグは選択肢から外しました。
また、OS-500はサイズが不定形なのでサイズ規制にひっかかってしまうケースがあるそうです。

輪行箱にも市販品と自作という二択があります。
この年はPBP(パリ・ブレスト・パリ)という4年に1度の長距離ブルベの邦人参加者がSNSで様々な情報を共有して下さっていたので、実はめちゃくちゃ参考にしていました。
そして今回は、信頼度の高い箱を設計して自作するスキルに自信が無かったのと市販品で良さそうな製品を発見したのでそちらに落ち着きました。


辿り着いたのが、バイクサンド200という製品。
利点欠点もありますが実際使ってみてかなり良かったので、後日詳しく纏めます。

バイクサンド200はざっくり説明すると
「これでもかという程ダンボールを重ねて、これでもかというくらい小ささに拘った箱」です。

外箱で1重、内箱は一見すると2重ですがよく見ると中芯の硬さが異なる2種類を重ねた4重構造。
内箱と外箱を合わせて側面は5重の段ボールになっています。自作だとこれは無理。

メリット:強度と宙吊り構造、この手の箱で最小クラス、部材ごとに安価に交換可能、保管・処分に困らない
デメリット:持ち手だけ極端に脆い、フォーク抜きが若干手間

一番魅力を感じたのがこの宙吊り構造。

「バイクサンド」の名前通りこの箱は左右分割できる構造で、ゴムバンドを使い左右の板にホイールとフレームをそれぞれ括りつけることができるのが最大の特徴。
残念ながらサイズを抑えたモデルの200ではスペースが足りずフレームしか括り付けない設計になっていますが、固定の難しいフレームが箱の中で暴れないだけでも大いにメリットがあります。

ANAもJALも国際線の預け荷物は三辺203cmという基準があり、タイガーエアも同様。
バイクサンド200は名前通り200cm以内(公式サイトによると199cm)に収まっているので問題なし!
ただしLCC他社の例に漏れず通常プランは重量制限が厳しいので、20kg対応プランのtigersmartを購入しました。

これに緩衝材とホイールを重ねます。
圧力への対策は外周を囲う段ボールの強度頼みですが、ちゃんと梱包すれば普通の段ボール箱より遥かに強靭。

なお、フォークは誤った知識で取り付けるとヘッドの破損に繋がるのでメーカー側ではこの輪行方法を「中級者以上向け」と設定しています。

予算と保管スペースがある上でならハードケースのほうがおそらく信頼度は高いですが、これだけ価格(送料込みで1万円)と運用の気楽さと耐久性を両立してるものは少なかったです。
バイクサンド200、実は昨今の運輸事情を鑑みて発売された新モデルだったのでSNSのレポートも非常に少ない製品でした。
はい。私はそういうものを好んで使います。そういう人間です。

輪行ハウツー的な話はまたPart1に載せたいと思います。

いずれレポートを書くので↓のリンクが有効になるまでお待ちください。
[宙吊り輪行箱を使ってみた話 / バイクサンド200]

通信手段(プリペイドSIM)


以前の海外旅行では記憶が曖昧です。確か緊急電話の手段だけ確保してネットはフリーWi-Fi頼みだった記憶。
当時は電話がガラケー、ネット端末がiPod touchという使い分けだったのでそれで十分でした。

現在のiPhoneはauの海外旅行プランもありましたが、高いです。はい。
普通に現地用のプリペイドSIMを購入して使いました。
現地で電話が必要な場面でもSIMに割り当てられた電話番号で全く不自由無かったです。
※SIMロック解除の方法はキャリアや機種にもよりますが申請から解除までラグがあるので早めに。
※わざわざ申請せずとも制限期間過ぎた端末を自動的に解除してくれたら良心的なのに…不思議ですね……()


現地で買う手もありますが、通販で購入する形で事前に用意することにしました。
2週間の旅程だったので15日用。
「遠傳(Far EasTone)」という台湾三番手のキャリアです。

結論から言ってサービス範囲や通信速度の問題はほとんどありませんでした。
速度が遅かったのも山がちな場所だったりコンクリート造りの地下だったりという悪条件下のみ。
台湾の険しい山岳地帯となると分かりませんが、海沿い一周する分にはほぼ全域をサポートしているようでした。

装備品

荷物はほぼ全て自転車に装備したバッグに収納します。
一眼レフをたすき掛けするのでバックパック類は使わないいつものスタイル。


内容も基本的にいつもの泊りがけツーリングに準じています。
着替えとバッテリー類がいつもより多めなぐらい。
10月でも亜熱帯〜熱帯の台湾は温かいし、電源周りのアダプターも不要なので楽!

着替えが多めといっても一番嵩張る荷物でもあるので、ランドリーを使う前提で最小限に留めました。
夜間や早朝走る場面でも半袖のサイクルジャージ+ウインドブレーカーで十分。
冬季だともう少し条件が変わってくるかもしれないです。
寒いと濡れ対策は必須項目ですが今回は軽量化優先で割り切った内容です。
小雨は撥水生地のウインドブレーカーとサイクルキャップで凌いで、本降りになったら雨宿りするか諦めて濡れることにしました。

撮影機材が重量的に大きいですが遠征時はこれぐらいの量をよく運んでます。


①撮影機材と電子機器
・一眼レフ(ボディ&レンズ、予備バッテリー&充電器、リモートコントロール、予備のSD)
・三脚
・ドローン(予備バッテリー&充電器、専用ACアダプター)
・GoPro(予備バッテリー、ネックマウント、予備のmicro SD)
・モバイルバッテリー×2、乾電池
・フロントライト(Volt800 & 予備バッテリー)
・テールランプ(OMNI3AUTO)
・サイコン(GARMIN Edge510)
・ケーブル類(Mini USB、Micro USB、Type-C、Lightningケーブル)ところで乱立規格は滅ぼされなければならない

②自転車用品
・小型ボトル&保冷ボトル
・ツールボトル(予備チューブ×2、タイヤレバー、携帯工具、チェーンカッター、ミッシングリンク)
・携帯ポンプ(通称、例のポンプ)
・軽めの鍵×2

③日用品
・歯ブラシ
・ひげ剃り
・日焼け止め
・虫除けスプレー
・ウェットティッシュ
・シャモアクリーム

④⑤装備品
・着替え入りスタッフバッグ
・洗濯物用スタッフバッグ
・ウインドブレーカー(防寒兼小雨対策)
・サイクルキャップ(小雨対策)
・サコッシュ

⑥貴重品
・財布(日本円の現金、Suica、クレジットカード、悠遊カード*)
・iPhone(普通に写真内に置き忘れました)
・パスポート(5年用でいいかなって)
*悠遊カード……公共交通機関等で使える台湾版Suica。台湾を旅行した姉から借りました。

自転車&パッキング

自転車がないと自転車旅は始められない。

普段ツーリングで乗っている2台のうち、今回はアルミロード(la Triestina)にしました。
JENAもカーボンフレームとしてはかなり頑丈だし、そもそもカーボンでもアルミでも破損に弱いのは極端に軽量化したモデルの話だったりするので、素材で選んだというよりは

・舗装路しか走らない
・それなりの速度で巡航する
・過去のトラブル対処経験から大抵の事態に即対処できる

この辺りが大きいです。


バッグはアピデュラのバイクパッキングスタイル。
先日の青森ライドで導入したフレームバッグに加えて、ドライのレギュラー(17L)を新たに追加。
先駆けの一端を担って未だに確実なシェアを得ているだけあって、とてもいい製品です。

サドルバッグにはあまり使わないものと、着替えなどなるべく軽いもの。
フレームバッグには補給食と、バッテリーなどなるべく嵩張らず重いもの。
ツール缶には工具や鍵でやはり重いもの。
フードポーチにはあまりものを入れず、補給食やちょっとしたゴミ入れです。

これらの配分はサドルバッグによる高重心化を軽減するのが目的。

サドルバッグ脇のボトルケージはミノウラのスタビライザー。
これについては良い点と微妙な点があったので、機会があれば紹介します。

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準備編はこんなところです!

本編でいちいち書くと長くなりそうなことをとりあえず纏めました。
いつもの更新ペースだと来年までかかりそうなので、月数本更新していこうと思います。

Part.1へ続く!

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